「東京ラブストーリー」には共感しかない!
「光の輝かしさは闇がなければ
分からないだろう。
幸福は不幸がなければ理解できない。」
シュリー・ラーマクリシュナ
愛媛出身の人と2年つきあった。付き合いたての頃は彼の部屋で寄り添いながら大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」を見た。ストーリーのクライマックスの、リカが1人で愛媛に行き、カンチがリカを捜しに行く場面も一緒に見た。カンチが乗ったバス、カンチが走っている商店街、カンチが通った川沿いの橋など、「ここは母校の近くだよ。」と事細かく紹介してくれた。
いつかは一緒に行きたいって思いながら、(いや、いつかは絶対行けるって思っていたから、)彼といられる喜びに、ただただ胸を踊らせた。まさかドラマの結末と同じように別れるなんて全く思っていなかったから、その頃のテツコはリカの気持ちに共感するのではなく、まっすぐに愛媛への憧れとカンチみたいに優しく素朴な彼への愛おしさを募らせるのみだった。
それからケンカばかりでうまくいかない日々が続いた時、最後の切り札のように、無性に愛媛に行きたくなった。これが最後のチャンスと思うまでに追い込まれていくことになる。愛媛に行けば何か変わるかもしれない。もう少しだけ頑張れるかもしれない。リカの気持ちがシンクロするようになった。テツコたちの場合は「里美」のような存在はいなかったけれど、それでも別れるかどうかという時、リカのセリフが妙に染みた。
彼に言ってみた。「愛媛に行きたい。どうしても行きたい。」「なんで今なんだよ。」とカンチと同じ回答。テツコの場合は婚約に向けて、いざ「いつ実家に行くか?」という話になった時、彼のお母さんに断られてしまい、それ以来愛媛に行くという話は自然と触れなくなった。今思えば大切な一人息子を取られるようで私の存在を良くは思っていなかったのだと思う。
結局、愛媛行きへの願いは叶わないまま、テツコは彼から離れた。今でも後悔がある。リカもうまくいかない中、精神状態がギリギリで「終わるかもしれない、でも終わらせたくない、愛媛に行けたら愛が復活するかもしれない、いや、愛媛に行けたら恋を終わらせる決心がつくかもしれない」と、どちらとも言えない揺れ動く気持ちに終止符を打つ最後の希望への切符が愛媛だった。テツコも愛媛に行きたかった。
リカみたいに一人で行けば良かったなとも思ったけれど、テツコの場合は一人になってから気持ちの整理がつかず、愛媛が禁止区域のように心の中で隔離されてしまった。どうせ行くなら感傷に浸れる別れた直後だったのかもしれない。今では決して踏み入れたくないところになってしまったが、それでもどこかでノスタルジーを感じるところでもある。
今外国人にも人気だし、四国のお遍路参りでもしたいものだ。こんな風に言えるくらい、テツコは強くなった。もう、とっくにリセットされたんだ。
晴れの日もあれば、雨の日もある。時々起こる人生の挫折も大海の波のようなもの。自分だから起こるのでもなく、誰かのせいで起こるものでもない。自然界では普通のこと。光と闇、朝と夜、幸福と不幸、成功と失敗、それらが表裏一体となり、世界の時間は流れている。人生は相反する出来事が走馬灯のように起こるようにできている。芥川龍之介もこのギャップがつらいって言ってたなぁ。ここからは、いつものヨガ哲学の名言です!
シュリー・ラーマクリシュナは
「光の輝かしさは闇がなければ分からないだろう。幸福は、不幸がなければ理解できない。」
確かに、時々起こる不幸の波が本当の幸せを気付かせてくれるんだよね。幸せが訪れると、「あたしが頑張ったからだ」なんて都合良く解釈しちゃったり、「今は運が良い時期だから、楽しんじゃおっ」って、人生の絶好調を味わってしまう。幸せな時ってドーパミンでも出てるのかなぁ、ぽやぽやーってしちゃうんだよね。幸せな時に、少しだけでも不幸を胸に留めておければよいけれど、やっぱり、いざ不幸にならないと、幸せの価値にはなかなか気付けない。
そして、そのうち、ゴロゴロゴローって岩でも落ちて来るみたいに、不幸に陥っていく。しっぺ返しだーって。本当、山あり谷あり。彼とは別れるなんて、全然想像してなかった。一生とは言わずとも、ずっと一緒にいられると思っていた。幸せな時には全く気付かない。別れた時にやっと、幸せだったんだって気付けた。遅いけど。
そして、苦痛を経験して、不幸を経験して、この苦痛を乗り越えた時に、人間は強くなるのだ。究極、ストイックに、大いなる誰かに鍛えられてるみたいに、人生はストイックなスポーツだ!なんて思ったりもする(笑)
ちなみに、「キャットアンドカウ(猫のポーズと牛のポーズ)」っていうヨガのポーズでも、セロトニンっていう幸せホルモンが出るから、幸福感を感じられる。そう、時々はヨガからも幸せをいただこう!ぜひぜひ、やってみてくださいね。
では、最後に、アイアンガー先生にも励ましてもらおう。
「苦痛は訪れるがそれはあなたを暗闇から光明に導く師となる。」
決して思い通りにもいかない、決して完璧にもならない人生。それでも生きていく。不幸がきっとあなたの希望に気付かせてくれるから。たった一筋でも光のある方向へ向かって。